2024年11月24日

🌱ウクライナ民話『てぶくろ』冬の定番名作絵本

ウクライナへの平和を願う思いから、2022年に話題となった作品。ウクライナ民話をもとに作られた絵本であることに加え、様々な種類の動物が1つの手袋の中で場所を譲り合いながら暮らそうというストーリーが、共生や平和への願いにつながっている。

古くから語り継がれた民話のもとに描かれ、日本では1965年に出版されて以来、長く読み継がれる、冬の定番名作絵本。


あらすじ

森を歩いていたおじいさんが、手袋を片方落として、行ってしまいました。すると、ねずみがやってきて、「ここでくらすことにわ」と、手袋にもぐりこみました。そこへかえるがやってきて、「わたしもいれて」。次にうさぎがやってきて、「ぼくもいれてよ」。

動物たちが次から次へ...。「わたしも」「ぼくも」とやってきます。 こんな大きな動物まで?もう無理!でも動物たちは、「それじゃどうぞ」。

手袋の中はもうぎゅうぎゅう!おしくらまんじゅう!

おじいさんは、手袋が片方ないのに気がついて、もどってきました。さぁ、びっくりした動物たちは、いったいどうしたのでしょう?


おすすめポイント

ごく普通の片方の手袋の落としもの。その手袋を舞台に「いれて」「どうぞ」が繰り返されるうち、次々にやってくる大きな動物たち。

次はどんな動物が来るんだろう?入れるのかな?どんどんふくらむ手袋とともに、ワクワクとドキドキもふくらみます。

子どもたちは繰り返しのお話が大好き。何度読んでも「もう1回!」と言われること間違いないの絵本です。

背景は暗い雪の森。冷たい雪の舞う背景が、手袋の中にいる動物たちの温かさや思いやりを、よりいっそう感じさせてくれます。

動物たちの名前や着ている民族衣装も、それぞれの個性を表現し、物語を盛り立てます。

ちょっぴり不思議で、心温まる物語。 寒い季節に、ぜひご一読ください!


本の情報

ウクライナ民話『てぶくろ』

エウゲーニー・M・ラチョフ/え うちだりさこ/やく 1965年 福音館書店 16p 28cm ウクライナの絵本 自分で読むなら小学校低学年頃から 読んでもらうなら2、3歳頃から




🌱『ゆきのひ』雪を楽しむ冬のおすすめ絵本

雪が積もったら、いつもの歩き慣れた道だって、足跡をつけて歩くだけで楽しい!大人だって子どもだって、雪が降ったらワクワクする!

雪の美しさや楽しさが伝わってくる、冬に読みたいおすすめ絵本。


あらすじ

ある朝ピーターが目を覚ますと、窓の外には雪が積もっていた。

ピーターは外へ飛び出した!

積もった雪の上は、足跡をつけて歩くだけで楽しい。

木に積もった雪をつっつくのだっておもしろい。

雪があるだけで、外遊びはグンと楽しくなる。

だけど、雪がとけてしまうと悲しくなる。

雪で遊ぶ新鮮な喜びや楽しさ、そして、いつしかとけてしまうはかなさ。

心に余韻の残る1冊です。


おすすめポイント

雪が積もった日のピーターのワクワクする気持ちや、あふれてくる好奇心が、シンプルに伝わてくる。

雪が降った日の子どもたちは、きっとみんなピーターと同じ気持ち。(本当は大人だって!)

コラージュで描かれた雪が美しい、冬に読みたくなるおすすめ絵本。


本の情報

『ゆきのひ』

エズラ・ジャック・キーツ/作・絵 木島始/訳 1969年 偕成社 32p 23cm アメリカの絵本 コルデコット賞受賞作品 自分で読むなら小学校低学年頃から 読んでもらうなら3歳頃から

コルデコット賞:アメリカで出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して1年に1度贈られる賞。1937年にアメリカ図書館協会によって創設。19世紀イギリスの絵本画家ランドルフ・J・コルデコットの名にちなんでいる。


あわせて読みたい

『ゆきのひ』のピーター、その後の成長物語





2024年11月19日

🌱『しんせつなともだち』寒い冬に心温まる絵本


寒い季節におすすめしたい、温かい気持ちを運んでくれる絵本。


あらすじ

雪がたくさん降って、あたりは真っ白。

食べるものが少ない冬。おなかをすかせたこうさぎが食べるものをさがしに出かけると、かぶを2つ見つけました。こうさぎは1つだけ食べて、もう1つは、ろばさんのところへ。ろばさんは留守だったので、家に置いて帰りました。

帰ってきたろばさんは、かぶにびっくり。 ろばさんはちょうど食べるものを見つけたばかりだったので、かぶをやぎさんのところへ届けることにしました。

思いやりの気持ちをのせたかぶが、動物たちのもとをめぐります。結末はぜひ読んでみてくださいね。

寒い日に「ともだちを思う気持ち」の連鎖が楽しい、心温まる絵本です。


おすすめポイント

子どもたちは、繰り返しのお話が大好き。単に「楽しいお話」として聞いているかもしれませんが、思いやりの気持ちは連鎖するもの。きっと伝わるものはあるはずです。

寒い冬、親子で読むのにおすすめの、あったかい気持ちになれる絵本です。この冬、ぜひ親子読書で楽しんでみてくださいね。


本の情報

『しんせつなともだち』

ファン・イーチュン/作 君島久子/訳 村山知義/画 1987年 福音館書店 28p 20cm 自分で読むなら小学校低学年頃から 読んでもらうなら2、3歳頃から




2024年11月4日

🌱ディック・ブルーナの絵本『クリスマスってなあに』

ブルーナらしいシンプルな絵と言葉で、クリスマスのはじまりの物語を小さい子どもたちにわかりやすく伝えてくれる絵本。


意外に知らないクリスマスの起源

学校図書館に勤めていた頃、子どもたちに「クリスマスって何の日か知ってる?」と聞いてみると、「サンタが来る日!」「プレゼントをもらう日!」「ケーキを食べる日!」「パーティする日!」「ツリーを飾る日!」「サンタの誕生日!」。うれしそうな声がいっぱい返ってくる。(クリスマスってやっぱり楽しい!)

「ほかには?」と聞いてみるけれど、正解はなかなか出てこない。そんなとき、よく子どもたちと一緒に囲んだ本が、ディック・ブルーナの『クリスマスってなあに』だった。


あらすじ

むかしむかし、ベツレヘムの人たちがみんな眠った暗い夜のこと。起きているのは、羊の番をしている羊飼いたちだけ。暗い夜の空が明るくなって、羊飼いたちはびっくりしました。空には天使があらわれて、かみさまの子どもが生まれたことを教えてくれました。天使がいなくなると、羊飼いたちは羊の群れをつれ、星にみちびかれて小さな馬小屋にやってきました。馬小屋には、マリアに見守られ、1人のあかんぼうが眠っていました。このあかんぼうが、かみさまの子イエスだったのです。

それから毎年、イエスの誕生をお祝いするようになったのが、クリスマスのはじまりです。


おすすめポイント

ミッフィー(うさこちゃん)でおなじみ、ディック・ブルーナのシンプルな絵と言葉で描かれた絵本『クリスマスってなあに』。クリスマスのはじまりの物語を、小さい子どもたちにもやさしくわかりやすく伝えてくれる。

クリスマスやサンタについて楽しく知ることができる辞書的な本はたくさんあるものの、『クリスマスってなあに』は物語として伝えてくれるところがいい。

「かみさまの子が生まれた日」って一言でいうのは簡単だけど、子どもたちにそれを説明するのってなかなか難しい。子どもたちにとっては、起源をよく知らなくたって、うれしいことや楽しいことがたくさんあってそれだけで十分なのかもしれないけれど、せっかくのクリスマス。ぜひ子どもたちと一緒に読んでみてほしい絵本。

クリスマスプレゼントにぴったりの愛蔵版やしかけ絵本も出版されています。


本の情報

『クリスマスってなあに』

ディック=ブルーナ/作 ふなざきやすこ/訳 1982年 講談社 28p 16cm 読んでもらうなら4歳頃から 自分で読むなら小学校低学年頃から


通常版


しかけ絵本


愛蔵版




🌱サンタの絵本といえばコレ!『さむがりやのサンタ』

人間味あふれるサンタ

子どもの頃、とってもとっても不思議な存在だったサンタクロース。そんなサンタクロースに親近感を感じることができるのが、この絵本。ここに登場するサンタは、ちょっぴり寒いのが苦手だったり、面倒くさがりやだったり。とっても人間味にあふれている。「サンタの絵本といえばコレ!」と思うイチオシの1冊。


サンタの1日の物語

「やれやれ、またクリスマスか!」

南の島でのんびりしている夢の途中、サンタは目覚まし時計に起こされ、面倒くさそうにベッドから起き出しました。忙しいクリスマスの1日が始まります。

トナカイの世話をし、ベーコンと卵の朝食を食べると、身支度を整え、ソリにプレゼントをのせて、さぁ仕事に出発!

寒さや煙突に文句を言いながら、子どもたちにプレゼントを届けてまわります。

1日の仕事を終えて家に帰ると、あたたかいお風呂に、1杯のビールとごちそう。もちろんトナカイたちにもおいしい食事を忘れません。

サンタが1年で1番忙しい1日の、ベッドから起き上がってからベッドにもぐり込むまでのお話。

細かいところまで描写されたサンタの暮らす家の様子にも、楽しい発見がたくさんあります。表情や口調などから、サンタの人柄を見てとることもできます。

コマ割りの絵に、吹き出しのサンタのセリフで物語が進みます。

子どもの頃から大人になった今まで、「サンタといえばこの絵本!」と思うイチオシの1冊です。ぜひサンタの人間味にふれてみてくださいね。


本の情報

『さむがりやのサンタ』

レイモンド・ブリッグズ/作・絵 すがはらひろくに/訳 1974年 福音館書店 32p 26cm イギリスの絵本 読んであげるなら4歳頃から 自分で読むなら小学校低学年頃から ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品

ケイト・グリーナウェイ賞:イギリスで出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して1年に1度贈られる賞。1956年に英国図書館協会によって創設された。イギリスの挿絵画家ケイト・グリーナウェイ(1946〜1901)の名にちなんでいる。


あわせて読みたい!

『サンタのなつやすみ』