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2024年11月4日

🌱ディック・ブルーナの絵本『クリスマスってなあに』

ブルーナらしいシンプルな絵と言葉で、クリスマスのはじまりの物語を小さい子どもたちにわかりやすく伝えてくれる絵本。


意外に知らないクリスマスの起源

学校図書館に勤めていた頃、子どもたちに「クリスマスって何の日か知ってる?」と聞いてみると、「サンタが来る日!」「プレゼントをもらう日!」「ケーキを食べる日!」「パーティする日!」「ツリーを飾る日!」「サンタの誕生日!」。うれしそうな声がいっぱい返ってくる。(クリスマスってやっぱり楽しい!)

「ほかには?」と聞いてみるけれど、正解はなかなか出てこない。そんなとき、よく子どもたちと一緒に囲んだ本が、ディック・ブルーナの『クリスマスってなあに』だった。


あらすじ

むかしむかし、ベツレヘムの人たちがみんな眠った暗い夜のこと。起きているのは、羊の番をしている羊飼いたちだけ。暗い夜の空が明るくなって、羊飼いたちはびっくりしました。空には天使があらわれて、かみさまの子どもが生まれたことを教えてくれました。天使がいなくなると、羊飼いたちは羊の群れをつれ、星にみちびかれて小さな馬小屋にやってきました。馬小屋には、マリアに見守られ、1人のあかんぼうが眠っていました。このあかんぼうが、かみさまの子イエスだったのです。

それから毎年、イエスの誕生をお祝いするようになったのが、クリスマスのはじまりです。


おすすめポイント

ミッフィー(うさこちゃん)でおなじみ、ディック・ブルーナのシンプルな絵と言葉で描かれた絵本『クリスマスってなあに』。クリスマスのはじまりの物語を、小さい子どもたちにもやさしくわかりやすく伝えてくれる。

クリスマスやサンタについて楽しく知ることができる辞書的な本はたくさんあるものの、『クリスマスってなあに』は物語として伝えてくれるところがいい。

「かみさまの子が生まれた日」って一言でいうのは簡単だけど、子どもたちにそれを説明するのってなかなか難しい。子どもたちにとっては、起源をよく知らなくたって、うれしいことや楽しいことがたくさんあってそれだけで十分なのかもしれないけれど、せっかくのクリスマス。ぜひ子どもたちと一緒に読んでみてほしい絵本。

クリスマスプレゼントにぴったりの愛蔵版やしかけ絵本も出版されています。


本の情報

『クリスマスってなあに』

ディック=ブルーナ/作 ふなざきやすこ/訳 1982年 講談社 28p 16cm 読んでもらうなら4歳頃から 自分で読むなら小学校低学年頃から


通常版


しかけ絵本


愛蔵版




🌱サンタの絵本といえばコレ!『さむがりやのサンタ』

人間味あふれるサンタ

子どもの頃、とってもとっても不思議な存在だったサンタクロース。そんなサンタクロースに親近感を感じることができるのが、この絵本。ここに登場するサンタは、ちょっぴり寒いのが苦手だったり、面倒くさがりやだったり。とっても人間味にあふれている。「サンタの絵本といえばコレ!」と思うイチオシの1冊。


サンタの1日の物語

「やれやれ、またクリスマスか!」

南の島でのんびりしている夢の途中、サンタは目覚まし時計に起こされ、面倒くさそうにベッドから起き出しました。忙しいクリスマスの1日が始まります。

トナカイの世話をし、ベーコンと卵の朝食を食べると、身支度を整え、ソリにプレゼントをのせて、さぁ仕事に出発!

寒さや煙突に文句を言いながら、子どもたちにプレゼントを届けてまわります。

1日の仕事を終えて家に帰ると、あたたかいお風呂に、1杯のビールとごちそう。もちろんトナカイたちにもおいしい食事を忘れません。

サンタが1年で1番忙しい1日の、ベッドから起き上がってからベッドにもぐり込むまでのお話。

細かいところまで描写されたサンタの暮らす家の様子にも、楽しい発見がたくさんあります。表情や口調などから、サンタの人柄を見てとることもできます。

コマ割りの絵に、吹き出しのサンタのセリフで物語が進みます。

子どもの頃から大人になった今まで、「サンタといえばこの絵本!」と思うイチオシの1冊です。ぜひサンタの人間味にふれてみてくださいね。


本の情報

『さむがりやのサンタ』

レイモンド・ブリッグズ/作・絵 すがはらひろくに/訳 1974年 福音館書店 32p 26cm イギリスの絵本 読んであげるなら4歳頃から 自分で読むなら小学校低学年頃から ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品

ケイト・グリーナウェイ賞:イギリスで出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して1年に1度贈られる賞。1956年に英国図書館協会によって創設された。イギリスの挿絵画家ケイト・グリーナウェイ(1946〜1901)の名にちなんでいる。


あわせて読みたい!

『サンタのなつやすみ』




🌱『急行「北極号」』大人に贈りたいクリスマスの絵本

大人になって出会った絵本の中で、これほど即買いだった絵本は他にない。


汽車の絵本?いえ、クリスマスの絵本です!

表紙には、雪の夜にたたずむ重厚感のある汽車の絵が、落ち着いた色調で描かれている。タイトルは『急行「北極号」』。この表紙とタイトルを一見すると、クリスマスの絵本とは思えないかもしれない。それが実は、大人にこそオススメしたい、不思議で神秘的な魅力のあるクリスマス絵本なのだ。


あらすじ

クリスマス・イブの夜、僕は息をひそめてサンタのそりの鈴の音が聞こえてくるのを待っていた。ところが、聞こえてきたのは鈴の音ではなく、汽車の音だった。窓の外を見ると、なんと家の前に汽車が止まっている。僕は忍び足で家の外へ出て、汽車に駆け寄った。車掌に聞くと、北極点へ行くのだという。

汽車に乗り込むと、客車の中は楽しそうに過ごすパジャマ姿の子どもたちでいっぱだった。汽車は暗い森を抜け、山や谷を越え、いつのまにか北極点へ。

サンタや、サンタのお手伝いをするたくさんの小人たちが暮らす北極点は、とても大きな町で、クリスマスのおもちゃが全部作られているという工場がいっぱいある。

クリスマス・イブのその夜は、北極号でやってきた子どもたちの中から、サンタのプレゼント第1号をもらう子どもが選ばれるという。サンタは僕を指さして「この子に決めるとしよう」と言うと、僕をそりに乗せてくれた。でも、僕がいちばんほしいものは、サンタの大きな袋の中には入っていない。

物語のクライマックスはここから。ぜひ手にとって読んでみてほしい。


美しい絵画のような絵本

この絵本の作者は、「光の魔術師」といわれるオールズバーグ。

夜の暗闇をそっと照らし出す汽車のライト。降り積もる雪の明るさ。狼がうろつく森の静けさ。汽車の中で過ごす子どもたちの楽しそうな様子。町のあたたかみ。サンタのおだやかでやさしい顔。主人公「僕」の気持ち。物語の最終ページで神秘的な存在感を放つ鈴。

物語の要がすべて、「光」の具合で見事に表現されている。

全ページ見開きいっぱいに描かれた絵は、どれも美しく、キラキラとした賑やかな明るさはないが、落ち着いたあたたあいクリスマスを感じることができる。


大人にオススメの絵本

文章量は多めで、漢字が多く、ルビはない。村上春樹による日本語訳の文章は、大人を意識して書かれているように思う。

作者がこの絵本に込めたであろう思いや、読者に伝えたいであろうメッセージも、「かつて子どもだった大人たち」に向けたものではないだろうか。子どもの頃の自分、そして子どもの頃の気持ち。きっと読む人それぞれに、大切な何かをよみがえらせてくれる絵本であると思う。

クリスマスは、大人だって楽しみなもの。かつて子どもだった人たちに、ぜひ届けたいクリスマスの絵本。


本の情報

『急行「北極号」』

クリス・ヴァン・オールズバーグ/著 村上春樹/訳 2003年 あすなろ書房 32p 23cm 大人向け アメリカの絵本 コルでコット賞受賞作品 1987年に河出書房新社から出版されたものの改訳版

コルでコット賞:アメリカで出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して1年に1度贈られる賞。1937年にアメリカの図書館協会によって創設。19世紀イギリスの絵本画家ランドルフ・J・コルでコットの名にちなんでいる。