2024年11月4日

🌱『急行「北極号」』大人に贈りたいクリスマスの絵本

大人になって出会った絵本の中で、これほど即買いだった絵本は他にない。


汽車の絵本?いえ、クリスマスの絵本です!

表紙には、雪の夜にたたずむ重厚感のある汽車の絵が、落ち着いた色調で描かれている。タイトルは『急行「北極号」』。この表紙とタイトルを一見すると、クリスマスの絵本とは思えないかもしれない。それが実は、大人にこそオススメしたい、不思議で神秘的な魅力のあるクリスマス絵本なのだ。


あらすじ

クリスマス・イブの夜、僕は息をひそめてサンタのそりの鈴の音が聞こえてくるのを待っていた。ところが、聞こえてきたのは鈴の音ではなく、汽車の音だった。窓の外を見ると、なんと家の前に汽車が止まっている。僕は忍び足で家の外へ出て、汽車に駆け寄った。車掌に聞くと、北極点へ行くのだという。

汽車に乗り込むと、客車の中は楽しそうに過ごすパジャマ姿の子どもたちでいっぱだった。汽車は暗い森を抜け、山や谷を越え、いつのまにか北極点へ。

サンタや、サンタのお手伝いをするたくさんの小人たちが暮らす北極点は、とても大きな町で、クリスマスのおもちゃが全部作られているという工場がいっぱいある。

クリスマス・イブのその夜は、北極号でやってきた子どもたちの中から、サンタのプレゼント第1号をもらう子どもが選ばれるという。サンタは僕を指さして「この子に決めるとしよう」と言うと、僕をそりに乗せてくれた。でも、僕がいちばんほしいものは、サンタの大きな袋の中には入っていない。

物語のクライマックスはここから。ぜひ手にとって読んでみてほしい。


美しい絵画のような絵本

この絵本の作者は、「光の魔術師」といわれるオールズバーグ。

夜の暗闇をそっと照らし出す汽車のライト。降り積もる雪の明るさ。狼がうろつく森の静けさ。汽車の中で過ごす子どもたちの楽しそうな様子。町のあたたかみ。サンタのおだやかでやさしい顔。主人公「僕」の気持ち。物語の最終ページで神秘的な存在感を放つ鈴。

物語の要がすべて、「光」の具合で見事に表現されている。

全ページ見開きいっぱいに描かれた絵は、どれも美しく、キラキラとした賑やかな明るさはないが、落ち着いたあたたあいクリスマスを感じることができる。


大人にオススメの絵本

文章量は多めで、漢字が多く、ルビはない。村上春樹による日本語訳の文章は、大人を意識して書かれているように思う。

作者がこの絵本に込めたであろう思いや、読者に伝えたいであろうメッセージも、「かつて子どもだった大人たち」に向けたものではないだろうか。子どもの頃の自分、そして子どもの頃の気持ち。きっと読む人それぞれに、大切な何かをよみがえらせてくれる絵本であると思う。

クリスマスは、大人だって楽しみなもの。かつて子どもだった人たちに、ぜひ届けたいクリスマスの絵本。


本の情報

『急行「北極号」』

クリス・ヴァン・オールズバーグ/著 村上春樹/訳 2003年 あすなろ書房 32p 23cm 大人向け アメリカの絵本 コルでコット賞受賞作品 1987年に河出書房新社から出版されたものの改訳版

コルでコット賞:アメリカで出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して1年に1度贈られる賞。1937年にアメリカの図書館協会によって創設。19世紀イギリスの絵本画家ランドルフ・J・コルでコットの名にちなんでいる。




2024年11月1日

🌿子どもと楽しむ福山城


広島県第2の町、福山市。2022年に築城400年を迎え、リニューアルした福山城へ。歴史家の夫と、ただお出かけしたいだけの私と、小学生だった息子とで、行ってきた。


快適なお城

私にとってお城のイメージって...。エアコンがなくて、夏は暑いし冬は寒い。ハシゴのような急階段で、上り下りが大変。靴を脱いで上がるのがめんどう。そんな、大変なイメージ。

でもそれって昔のまま現存してるお城の話で、復元されたお城は中の設備がけっこう整ってる。とはいえ、どこのお城が現存で、どこのお城が復元なのか、そんなことは知らない私。行ってみるまで、暑いとか寒いとか急階段とか覚悟してるわけで。

福山城へ行ったのは、まだまだ残暑が厳しい季節。暑いことを覚悟して行ってみたら、なんとエアコンがきいていて涼しい!まずはそれだけで幸せ!靴のまま入城できて、靴を脱いだり履いたりする必要もなし!階段はちょっと急だけど、ハシゴじゃない!エレベーターまである!快適なお城!


まるでお城のテーマパーク

エントランス

入るとまず、部屋中に大きく写し出されるデジタル映像で、落語家の春風亭昇太さんが福山城の成り立ちみたいなものを解説してる。

それがなかなか見ごたえのある映像とわかりやすい解説で、私みたいに何も知らず訪れた人でも、城内を見て回る前に基礎知識を得られたのが良かった。

スタンプラリー

こんなスタンプラリーは初めて!台紙は入口でもらえた。

1階から6階まで各階にスタンプ台が設置されていて、1階から順に重ねてスタンプを押していくと、多色刷りの版画のような仕組みで、最上階で福山城が完成!うれしい!

一番槍レース体験

馬にまたがり、大坂夏の陣へ!いざ出陣!1番に敵陣へ槍を突き入れることができたら成功!(冬になったら大坂冬の陣に変わるのかなぁ?)

私たちが行ったときには、体験してるのは子どもばっかりだったけど、大人の私もチャレンジ!馬の動きがリアルで、ゲームとしても乗馬としても楽しめる!年齢に合わせたレベルがあるので、小さい子どもから楽しむことができる。

(注意:体験したい人は、ぜひスカートは避けて。そしてここでは靴を脱ぐ必要があります。)

火縄銃体験

火縄銃をかまえて、映像の中の的に向かって一発勝負の射撃体験!

重いけど「実物の半分の重さ」とのこと。36m先の的に命中させるのは、なかなか難しい。

当時の人の火縄銃の腕前のすごさがわかる。

城泊で城主気分

月見櫓の中は宿泊施設としてリニューアルされている。お城に泊まれるって、ちょっとワクワクしそう!


まとめ

お城のことをよく知らないままフラリと行っても「おもしろい!」 と思えたお城。

もちろん城内はアトラクションだけではない。基本「博物館」になっていて、紙の資料も立体の資料もたくさん展示されている。

お城好きの人からそうでもない人まで、子どもから大人まで、楽しめるお城だった。

城内がおもしろいだけでなく、外観もとてもキレイ。

行楽シーズン、ぜひ築城400年の時を経た福山城へ。





2024年10月31日

🌱マンガも読書、図鑑も読書


読書といえば文学作品を読むこと。なんとなくそうイメージされがちな気がする。

もちろん文学作品を読むことは読書だけど、ほかのジャンル(たとえばマンガや図鑑)を読むことも読書だと思っている。

どんなジャンルであれ、文字どおり「書を読むこと」が「読書」であると思う。

日本のマンガは世界に誇れる文化でもあるし、図鑑が好きでたくさん読んでいる子どもたちの知識欲は素晴らしい。

マンガも図鑑も、子どもたちの世界観を広げたり、読む力をつけたりしてくれる。


関連記事 読書習慣のきっかけ作り




2024年10月13日

🌱読書週間は読書習慣のきっかけ作り

4月23日は「子ども読書の日」。毎年この日から「こどもの読書週間」が始まる。そして10月27日「文字・活字文化の日」から、毎年「読書週間」が始まる。春と秋どちらの読書週間も、さまざまなところで読書を推進する取り組みやイベントがおこなわれる。


読書週間だからって読書する?

はたして子どもたちは読書週間だからといって本を読むのか?

本をよく読む子は読書週間であろうとなかろうと読むし、読まない子は読書週間にイベントを開催しようとそう簡単に本に食いついてはこない。

子どもたちの読書意欲をかきたてるためには、読書週間よりも、日頃から本と出会える環境を整えておくことが大切。

じゃあ何のための読書週間なのか。


読書週間の意義

それは、子どもをとりまく大人や本に関わる大人に「子どもにとっての読書の大切さ」について関心を持ってもらい、行動に移してもらう「きっかけ作り」。

そこから「子どもたちが日頃から本と出会える環境」をまわりの大人が作る。そうつながっていくと願いたい。


日頃から本と出会える環境作り

我が家の子育てでも実践している、日頃から子どもが本と親しめる環境作り

○子どもが家でいちばん長く過ごす部屋に、本置き場を作る。

○子どもが興味を持ちそうな本を、子どもの目につきやすい場所、子どもが自分の手で取りやすい場所に並べておく。

○短い時間でも親子で本を楽しむ時間を作る。

○日頃から親が読書を楽しむ姿を子どもに見せる。

どれか1つでも、簡単にできそうなことからぜひ試してみて!




2024年9月23日

🌱関西弁が楽しい『ぼちぼちいこか』


大人だって子どもだって、新しいことがスタートするときや新しいことにチャレンジするときは、何だか肩にチカラが入ってしまうもの。

そんなとき、ふわっと肩のチカラを抜いてリラックスさせてくれる絵本がある。


内容紹介

からだの大きな「ぼく」(かば)は、消防士やパイロット、ピアニストなど、いろいろなお仕事にチャレンジ。

どれもこれも、チャレンジしては見事に失敗ばかり。(その失敗のしかたがクスッと笑えるんです。)

だけど失敗したって、またチャレンジ!

そして、疲れたときは「ひとやすみ」。

関西弁の語り口も楽しい絵本です。


おすすめポイント

例えば新学期など、新しいことがスタートするときは、大人も子どもも多かれ少なかれ、新鮮な気持ちや楽しみな気持ちや期待感がある一方で、肩にチカラが入りすぎたり、不安な気持ちや緊張感だってある。

まさにそんな状況に一息いれてくれる絵本。

失敗したってまたチャレンジすればいい、疲れたら一休みすればいい。

「ぼく」(かば)がそう言ってくれているようです。

「ぼちぼちいこか」と。


本の情報

『ぼちぼちいこか』

マイク・セイラー/作 ロバート・グロスマン/絵 今江祥智/訳 1980年 偕成社 32p 26cm アメリカの絵本 読んでもらうなら3歳頃から 自分で読むなら小学校低学年頃から




🌱ヨシタケシンスケ〜子育て世代へのおすすめ本〜

言わずと知れた超売れっ子絵本作家ヨシタケシンスケ。

私の本棚にも息子の本棚にも、気がつけばヨシタケ本がいっぱいある。

デビュー作『りんごかもしれない』以来、男女を問わず世代を越えてブームを巻き起こし続けている。

その理由と、特に子育て世代にイチオシの作品を紹介。


人気の秘訣

♢「子ども目線」「おとな目線」「親目線」、どの角度からでも読める。⇒老若男女、多くの人が共感できる。

♢クスッと笑える中にも、心の深いところにじんわりと伝わってくるものがある。⇒笑いあり、涙あり。

♢日常のちょっとした出来事や疑問に、柔軟な発想を投げかけてくれる。⇒答えではなくヒントをくれる。

♢一見むずかしそうなテーマでも、肩のチカラを抜いて読める。逆に、肩のチカラを抜いて読んでいたら、深い内容に気づかされる。⇒「絵本」という形態にピッタリ。

子どもから大人まで年齢や性別に関わらず幅広く読まれ、現代の世の中においてブームとなっているヨシタケシンスケ。その理由もまた、読む人の数だけ幅広く見つかりそうだ。


子育て世代へのおすすめ本

数あるヨシタケシンスケ作品の中から、特に子どもを取り巻く大人たちにおすすめしたい2冊を取り上げてみた。

『ヨチヨチ父ーとまどう日々』

初めての育児は大変すぎて、体力的にも心理的にも(育児モノを)描くことができませんでした。育児がちょっとひと段落ついて、心の整理がされてきて、やっと今回、育児モノを描くことができました。子育てが一番大変な時に、子育てについて考える余裕なんてないのです。 <著者あとがきより>

まさに今、育児に日々奮闘中の方にぜひオススメしたい1冊。

私も息子が生まれてしばらく、日々の成長の記録を書き留めておきたいと常々思っていたものの、結局そんな余裕はまったくなかった。息子が10歳のときにこの本を読み、毎日毎日ひとつひとつ精一杯だった自分がなつかしく思い出された。

母親目線ではなく父親目線で描かれている子育てエッセイは、まだまだ少ない。当時は考える余裕のなかった父親の立場にもクスッと笑える。

今まさに赤ちゃんとの大変な毎日を過ごしているお母さんお父さんたちに、ぜひ読んでもらいたい。

絵が中心で読みやすく、どのページからでも1コマだけでも読めて、大変な毎日に一瞬の「ホッとする」を差し入れてくれるに違いない。

本の情報

『ヨチヨチ父ーとまどう日々』

ヨシタケ シンスケ/著 2017年 赤ちゃんとママ社 子育てエッセイ 一般書


『なんだろう なんだろう』

なんだろうなんだろう「がっこう」ってなんだろう

「たのしい」ってなんだろう

「うそ」ってなんだろう

「友だち」ってなんだろう

「しあわせ」ってなんだろう

「自分」ってなんだろう...

子育てをしていると、子どもから投げかけられる色々な疑問に対し、ときには答えに困ることもある。

大人も考え込んでしまう色々な「なんだろう」。

その「なんだろう」に対する「こんな考えどうでしょう?」 というヨシタケ流ヒントがたくさんつまっている。

いろんな考えや、いろんな気持ちがあっていいんだ。

わからないことがあっていいんだ。

身体とともに心も大きく成長していく子どもたち。

その子どもを取り巻く大人たち。

その両方に届けたい1冊。

本の情報

『なんだろう なんだろう』

ヨシタケ シンスケ/著 2019年 光村図書 絵本 小学校低学年頃から




🌱な〜んにもしたくない日の私の読書法

今日は朝からな~んにもやる気がしない。

たまにはそんな日だってある。

そんな日は、本だって読む気がしない。

いやいや、そんなときでも読めちゃう本がある。

どのページからでも、1行だけでも、ふらっと寄り道するみたいに読めて、思いがけずステキな言葉に出会えるかもしれない本。

詩集や名言集といわれる本たち。

詩集はとっつきにくい?名言集はこむずかしい?

いえいえ、そうでもないんです。


「ムーミン谷の名言シリーズ」

名言集って私は普段あまり好んで読むことはないのだけれど、それでも好きなのが、このシリーズ。

「いつもやさしく愛想よく」なんて、やってられないよ。理由はかんたん。時間がないんだ。(スナフキンの言葉より)

たくさんあるムーミンのお話の中から、心に響く言葉、クスッと笑える言葉、生きるヒントをくれる言葉たちが、ギュッと1冊につまっている。

お話の中から、ほんの数行の名言だけを抜粋して書かれているシンプルなもの。

ムーミンのお話を読んだことがなくても大丈夫。

きっとステキな言葉に出会えるはず。

本の情報

「ムーミン谷の名言シリーズ」全4巻

トーべ・ヤンソン/作・絵 2020年 講談社 60p 小学校中学年頃から


阪田寛夫『てんとうむし』

詩集はきっといいものがたくさんあるのだろうけれど、他のジャンルの本に比べると、手に取ってみる機会は少ないかもしれない。

だからこそ、ちょっと気分を変えたいときには、寄り道気分であえて手に取ってみる。

短いものが多い詩は、立ち読みだってしやすい。

私の詩集の選び方は単純。

装丁を見てステキだなと思うもの。この本もそう。

子ども向けに出版されている詩集だと、「詩ってむずかしそう」という先入観を取っ払って、取っつきやすいかもしれない。

リズムよく読んでいると、いつのまにか気持ちが晴れてることだってある。

本の情報

阪田寛夫『てんとうむし』

阪田寛夫/作 1988年 童話屋 160p 15cm 読んでもらうなら4、5歳頃から 自分で読むなら小学校低学年頃から